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MRモニタリング制度、違反事項報告がやばすぎる件

こんにちは!ゆうです!

最近暑くなってきて、MR活動も厳しい時期になってきましたねー

タイトルとは全く関係ないのですが、MRのクールビズは少し変わっています。
半袖シャツは許されている(慣例でOK)のですが、なぜか年中ネクタイ着用です。
半袖シャツにネクタイをしています。真夏はジャケットは着ていない人が殆どですが、なぜかネクタイだけはしています。笑

なのでコンビニや電車で半袖シャツにネクタイしているサラリーマンを見かけたら、だいたいその人はMRです。笑

少し脱線しましたが、タイトルの話題に移ります。
厚労省が先日公表した「医療用医薬品の広告活動監視モニター事業」の報告書の内容がやばすぎる件です。

「医療用医薬品の広告活動監視モニター事業」 ってなに?


この「医療用医薬品の広告活動監視モニター事業」は2016年度から厚労省がはじめたもので、2018年度で3年目が終了しています。

調査目的は以下のとおりです。

大手製薬企業による、臨床研究データを不正に利用した広告が社会的な問題となった事 例を受け、「医療用医薬品の広告の在り方の見直しに関する提言」(製薬企業の薬事コンプ ライアンスに関する研究班(研究代表者 白神誠)、平成 26 年 11 月 21 日)及び「臨床研究 に係る制度の在り方に関する報告書」(臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会、平成 26 年 12 月 11 日)において、医療用医薬品の広告の適正化のために、行政機関による監視・ 指導体制の強化を図ることが必要とされた。具体的には、国や地方自治体といった行政機 関が医療用医薬品の広告違反の端緒を幅広く把握するためには、医療関係者からの情報を 収集することが重要であり、その監視体制の強化の一つとして、医療関係者による広告監 視モニター制度の創設が提言された。 こうした背景の下、本事業では、平成 28 年度より、医療用医薬品を対象とした広告活動 監視モニター制度を構築し、医療現場の医師・薬剤師に対する製薬企業の販売促進活動の 状況等を直接収集することとした。また、収集した個別事例については、有識者等を構成 員とする事例検討会を設置・開催し、評価を行うこととした。広告違反に該当する行為を 早期に発見して、行政指導などの必要な対応を図るとともに、製薬企業や業界団体等によ る自主的な取組を促すこと等により、製薬企業による適正な広告活動を確保するための環 境整備を進めることを本事業の目的としている。

医療用医薬品の広告活動監視モニター事業  報告書 より

ざっくり説明すると、製薬会社が不適切な宣伝を医師や薬剤師にしていないか?を医師や薬剤師にモニターとして設置して、実態を把握しよう!としている事業のことです。

MRは扱っている商品が、ときには命に関わることもあるので、そのルールが厳格に決められています。
私達MRはそのルールの中で医療関係者へ自社医薬品の宣伝をするわけです。

過去に大手製薬会社がそのルールを破って、大きな売上を築いたため、厚労省が本気で怒ってこのようなモニター事業がスタートしたわけです。
(はっきり言って面倒なことしてくれたよーって感じです。笑)

違反事例を見て思ったこと・・・細かい内容まで報告されている

調査結果の概要は・・・

  • 延べ64の医薬品について適切性に関する疑義報告
  • 45の医薬品が違反の疑いがあるとして指導対象
  • 違反が疑われた項目は74件

違反が疑われた45の医薬品に関する情報の入手先は・・・

  • MRが48.9%でトップ
  • パンフレット等の印刷物が33.3%
  • タブレットなどでのデータの提示が13.3%

違反が疑われた項目74件の内訳は・・・

  • エビデンスのない説明を行った(14.9%)
  • データの抜粋・修正・統合などを行った(12.2%)
  • 誇大な表現を用いてデータを説明した(10.8%)
  • 未承認の効能・効果や用法用量を示した(10.8%)

とまぁこんな感じで集計されていました。
正直これが多いのか少ないのかがわからないのですが、思ってことは・・・
モニターにぶち当たったMRは運が悪いなーってことですかね。笑

ただ、このデータからはイメージが沸かないのですが、具体的事例を見ると少し印象は変わります。
例えば以下の違反事例が記載されていました。

◆医薬品の種類: 抗ウイルス薬
◆問題のあった情報提供活動・資材: 企業担当者の口頭説明
◆内容: 企業担当者に対して本剤の優位性を尋ねたところ、「既存薬と比較してウイルス力価の減少が速く、ウイルス排出停止までの時間が短縮することから、他者へうつすリスクを減少させる可能性がある」との説明を受けた。 理論的には妥当とも考えられるが、「ウイルス力価の変化量」と「ウイルス排出停止までの時間」は副次評価項目であり、感染リスクを下げる直接的なデータもないため、優位性を誇張しているように受け止められた。
◆ポイント: 直接的なデータを示すことなく、他剤に対する優位性を説明した。

どうでしょうか?
厳しくないですかね?笑

医療関係者から優位性を尋ねられて、それに対する回答がある程度理論があり、その理論の仮定に沿って「他剤と比べて優位な可能性」について説明したにも関わらず、違反と報告されてしまいます。

「既存薬と比べてこの薬は何がいいの?」と聞かれて
「わかりません」
「データがないので答えられません」
「特にありません」
って回答できますかね?笑
逆にそんな答えしたら、「は?何を説明しにきたの?」って怒られる気がしますが。笑

結構厳しいですよね、、、
実際MRをやっていると競合品との比較についてはかなり聞かれる質問の1つです。
その答えを確実な科学的根拠を示しながら、説明するのは 直接比較のデータが無い場合を除き、かなり難しいです。
直接比較のデータがあるほうがかなり稀なので、現場では違反にならないように説明することはかなり困難な状況です。

MRに求められる情報提供とは?MRの価値は?

MRに求められる情報提供とは何でしょうか?

これだけインターネットが発達し、添付文書やインタビューフォームなどはMRから直接入手するよりもググればすぐに手に入れることが出来ます。
ググってもわからないことは、製薬会社が設置している問い合わせ部門に電話で確認することが出来ます。

従来のルールでは、エビデンスまでは無い他剤との比較や、自社品の特徴はMRが説明するのはそこまで厳しく制限されていませんでした(実際はルールはあったかと思いますが、黙認されてきました)。

たしかにMRによる自社品を売りたいがための、一方的な情報提供が行き過ぎた結果、ルールで厳しく制限されるようになったのではと思います。

しかし、現場で働く忙しい医師には、エビデンスまでは無い情報、他施設の自社品の評価など、添付文書には乗っていない情報を求めるニーズは多くあると感じます。

今後MRの提供する情報に厳しく制限がかかると、医師が求めるニーズに応えることが出来なくなってしまいます。
結果不利益を被るのは、製薬会社ではなく患者さんと真摯に向き合っている医師や治療を受けている患者さんではないかと思います。

最後に・・・

この記事では「医療用医薬品の広告活動監視モニター事業」の報告まとめについて解説してきました。
監視はかなり細かく、かつ厳しい内容でした。
実際MRとして働いている側からすると、医療現場からのニーズから少しずれた方向に向かっているのでは?と感じました。

とはいえ、MRとして働いている身分なのでルールに従って情報提供活動をしなければなりません。

医師、薬剤師に求められるMRとして何ができるのか?
これからも考え続けないといけないですね。

最後までありがとうございました。
疑問や質問があればコメントやTwitterからDMください!

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