こんにちは!製薬会社で営業(MR)をしているゆうです。
この記事では「これから製薬会社に就職を目指す方が知っておくべきこと」について解説しています。
結論から言うと
- 国の方針を知る
- 業界の動向・特徴を知る
- 製薬会社の特徴を知る
- パイプライン(開発状況)を知る
- 社員数の変動を知る
の5点にまとめられると思います。
ひとつずつ解説していきますが、個人的な見解なので参考程度で考えていただければと思います。
国の状況を知る
まず国の状況からです。
製薬業界は産業の特性上、規制産業であり国により方針が大きく影響してきます。
ご存知のとおり日本には最強の医療保険である「国民皆保険制度」があります。
この制度により、ほとんどの国民が何かしらの保険に入っており、自己負担が少なく平等に医療を受けれる土台が整備されています。
国民皆保険制度は「医療の平等」を実現するメリットがありますが、一方で制度を維持するためには大きな予算が必要になります。
高齢化社会が進み、国の社会保障費は増大しており、まだまだ増え続けることが予測されています。
内閣府が調査した社会保障費の資料から抜粋しています。
ご覧のとおり、社会保障費は経時的に増加し、特に医療と介護の伸びが大きいことがわかっています。
また今後も増加していくことが予測されています。
このことから、国は医療費の抑制にあらゆる対策を実施しています。
製薬会社に関連する対策も多くあるのですが、その代表が「後発品の促進」です。
後発品比率は2007年が34.9%だったのに対してここ10年で大きくその比率が高まってきています。
政府は2020年9月までに後発品比率を80%まで高めることを目標に掲げています。
2019年9月現在の速報値で約75%まできていることから、80%の目標達成は問題なくクリアできると考えられます。
製薬会社(主に新薬メーカー)はこの影響を大きく受けており、新薬が出せない製薬会社は利益を出すことが難しい環境に変化しています。
- 国の社会保障費は増大していて、特に医療や介護の予算は益々増えていく
- 社会保障費抑制のために、後発品比率を高めている
- 社会保障費抑制の施策は製薬会社にとってマイナス要因
業界の動向・特徴を知る
次に製薬業界の動向と特徴についてです。
製薬業界はかなり成熟した業界で、規模が大きい一方、短期間で大きく成長することは見込まれていません。
景気に左右されにくく、安定している業界とも言われています。
2014年~2018年の医薬品市場は全世界で1年あたり6.3%のペースで成長していました。2019年~2023年の成長予測は1年あたり3~6%の成長が見込まれています。
日本の医薬品市場に注目してみると、2018年の市場は86.4億ドル(約9.5兆円)あり、世界で第3位の市場になります。世界的に見て日本の市場はまだまだ大きいことが分かります。
一方で1年あたり成長率はわずか1.0%しかありませんでした。
さらに2019年~2023年の成長予想は▲3~0%と良くても0%の成長と予測されており、国内の環境は厳しくなることが予想されます。
- 製薬業界は景気に左右されにくい安定した業界(今までは)
- 世界的には緩やかに市場が成長していくと予測されている
- 日本の市場は世界で3位だが、市場成長のスピードは鈍化している(今後はマイナス成長になると予測)
製薬会社を知る
次は「製薬会社を知る」です。
製薬会社と言っても色々な会社があります。
新薬特化型企業 | 新薬のみ扱っている会社 |
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後発品特化型企業 | 後発品のみ扱っている会社 |
ハイブリッド企業 | 新薬と後発品の両方取り扱っている会社 |
細かく分ければ色々あると思いますが(外資か内資かなど)、大きくこの3種類に分けられるのではないでしょうか。
「国の状況を知る」のパートで、後発品比率が2020年に80%となると書きました。
ただこの80%は数量ベースの割合で、金額ベースではありません。単純に個数の割合です。
後発品の市場規模は国内で約1兆円と言われており、国内市場(9.5兆円)の約10%強しかありません。
ですので売上ベースではまだまだ新薬が稼いでいるのが現状です。
新薬の開発にはとても長い年月がかかること(数十年スパン)、既にたくさんの薬が上市されてるため薬になりうる物質を見つける(あるいは合成)のが難しくなっていることなど等、市場環境はより厳しくなることが予測されています。
生活習慣病などいわゆるプライマリー領域への新薬は枯渇していき、主流は抗がん剤や希少疾病など、まだ治療ニーズが満たされていない領域へシフトしつつあります。
この領域で新薬を作れるか否かが製薬会社の未来を占っていると思います。
- 製薬会社は主に3種類に分けられる(新薬型、後発型、ハイブリット)
- 医薬品市場の約90%は新薬が占めている
- 主流はプライマリー領域から抗がん剤、希少疾病へシフトしている
パイプライン(開発状況)を知る
ここまで製薬業界の現状をざっと解説してきました。
ここからは就活のコツ?のようなものを解説していきます。
製薬会社に就職を考える人は、受ける企業の「パイプライン(開発状況)」を確認しましょう!
確認のポイントは以下のとおりです!
- パイプラインの数
- パイプラインの領域
- 臨床試験の進行状況
- 国内か海外か?
この4つのポイントは必ず確認しておいた方がいいです。
パイプラインの数
今後いくつ薬を出す予定があるのかが分かります。
パイプラインの領域
どの領域に強みを持っているか?あるいは、今後どの領域に注力するのか?が分かります。
臨床試験の進行状況
いつ薬が出てきそうなのかをざっくり予測できます。
P1だとまだ時間がかかりますし、P3だと比較的近い将来にその薬が出てきます。
国内か海外か?
大切なポイントです!
薬の開発を国内のみで実施しているのか、海外で実施しているのかを確認しましょう。
既に海外で承認されている薬で、国内未承認の薬を開発している場合があります。
そのときは、既に海外でどのような評価なのか?を調べることで、その薬のポテンシャルを知ることができます。
パイプラインを確認することで、その製薬会社がどのような展望をしているのかをざっくり知ることができるので必ず確認しましょう!
- パイプラインは製薬会社の未来地図!
- 企業の特徴が大きく反映されている
- 必ず確認しよう!
社員数の変動を知る
最後におまけです!
企業の直近の動向を知るために社員数の変動を確認することをおすすめします。
最近では大手製薬を中心にちらほら早期退職を募集しています。
いわゆるリストラですね。
各社リストラの多くは40歳以上を対象としたプログラムですが、中には勤続1年以上を対象としたプログラムを実施した製薬会社もあります。
私の同い年のMRもそのプログラムで若くして退社しました。
今後、終身雇用は崩壊していくと予想されていますが、出来れば安定して働きたいと思っている人が多いと思います。
リストラに関してはこちらの記事を参考にしてみてください。
製薬会社に就職するために まとめ
製薬会社に就職するために知っておくべきことについてまとめます!
- 国の方針を知る
社会保障費増大!
薬の費用を抑えたい!
後発品比率高めるで! - 業界の動向・特徴を知る
景気に左右されない安定!
成長率はかなりマイルド!
日本はマイナス成長! - 製薬会社の特徴を知る
新薬?後発品?ハイブリット?
市場の約90%は新薬!
注力は抗がん剤や希少疾病へシフト - パイプライン(開発状況)を知る
パイプラインは企業のロードマップ!
必ず確認すべき事項! - 社員数の変動を知る
リストラする企業が増えている!
以上になります!
最後までご覧いただきありがとうございました!